絵で見る自然農法
自然農法と聞くと、農薬や化学肥料を使わない栽培法です。その畑が自然農法に適した状態になると結果的に「使わなくなる」のですが、「必要なくなる」と考えた方が解りやすいと思います。
図①をご覧ください。左は慣行農法(一般の農薬・化学肥料を使う農法)、右は自然農法の畑です。タネを植え、水をあげ、お日さまの光を浴びます。慣行農法の土には、作物が育つために必要とされている三大栄養素のチッソ、リン酸、カリが、化学肥料によって蓄えられています。根からは負担なく栄養を吸い上げるので、芽はとても元気に育ちます。根はさほど育つ必要はありません。
右手の自然農法の土には、あえて肥料(栄養)を入れませんので、発芽した葉は弱々しく栄養失調のようにも見えます。田植えした後の自然農法の田を見ると、「大丈夫かな・・?」と思うくらい、周りの田んぼより弱々しく見えます。しかし土の中では、少ない栄養を一生懸命確保しようと、根はとても力強く成長しています。栄養を摂取する力、少ない栄養を効率よく成長するために変化させる力が宿ります。そして土の中にある細菌や微生物、線虫や昆虫、小動物など、天文学的数値の数ある生き物のいのちに応援されながら、発芽したいのちは、自らの力で「生きて行こう!」という体質となります。これが自然農法の特徴です。
図②をご覧ください。生きる力が備わった右側の自然農法は、気温や湿度、天候状態に適した成長の仕方を、遺伝子と相談しながら過去の経験と照らし合わせ、自らの判断で適当な栄養を摂取し、それを成長の力に変化させ育ちます。無駄の無い必用なだけの栄養摂取なので、葉色は淡いみどり色で、左右のバランスもよく理想的に育ってゆきます。
一方左側の慣行農法は、与えられた栄養を苦労なく接種して行きますが、調整能力が弱いため、栄養過多になりやすいようです。土壌にチッソが多いと、作物にはアブラムシが発生します。栄養が多すぎると、人間と同じように病気にもなることがあります。また、よく例えられるのが、河原に生息するスギナです。スギナは酸性の土壌に生息することが多いのです。そのスギナはアルカリ性です。スギナが沢山育つことで、土を中性に戻そうとする働きがあるようです。このように自然界は、何かが偏った時は、それを正常に戻し、全てのものを調和させようとする働きがあるようです。
そう思うと、害虫や作物の病気は、私たちの目から見ると悪モノですが、大自然からは、何かに偏った状態を元に戻そうとする働きであり、浄化作用なのかもしれません。しかし慣行農法は、それらに対して、対処しようとします。それは殺菌剤や殺虫剤という農薬です。殺菌剤や殺虫剤は土にも影響を与えます。土にビニールシートを被せ、ガスを使って直接消毒するやり方もあります。当然、土の中の生物(いのち)は死んでしまいます。当然、土はやせて弱って行きます。そのため化学肥料を補充して次の作物を作る準備をし、これを繰り返してゆきます。
自然農法で育った食べ物は、生きる力に支えられ、生きる力が備わっていると考えられます。それら食べ物は、食べた私たちの身体にも生きる力を授けてくれると信じます。